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冷房運転の除湿モードって本当に湿度を下げている?暖房は?
手元のリモコンには「除湿モード」があるけど、除湿ってできるのかな?
暖房のカラカラ空気が、どうもが肌に合わなくて…。
今回はエアコンを運転することで、湿度がどのように変化するのかを、観ていきましょう。
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室内機・室外機の接続
そもそも、どうしてエアコンには室外機が設置されている、セットで販売されているのでしょうか。
これは、部屋の内外で熱の移動を行い、冷房時は室内の熱を外に排出して、逆に暖房時は室外の熱を室内に取りこむ構造だからです。
実際に、熱を運ぶのは冷媒。
熱の媒介だから、熱媒でも良さそうですが、冷媒(れいばい)と呼んでいます。
室内機と室外機はこの冷媒を通す冷媒管で接続されています。
また、室外機を稼働させるための電源線や、運転-停止、冷房-暖房、現在必要な出力など、内外の通信を行うための通信線で接続されています。
エアコンには、室内機が排出する凝縮水(ドレン)の排水配管を行いますが、施工条件や現場の状況によって室外機の近くまで配管することはあっても、室外機に接続してはいません。
一般的な機種では、室内機-室外機で「空気そのもの」のやり取りもしていません。
つまり、運びあっているのは「熱」と電気と信号で、空気は出し入れをしていません。
このことを踏まえておいてください。
湿度とは?
湿度。実は大きく分けて2つの湿度があります。
相対湿度
天気予報や、通常使う湿度は、「相対湿度」と呼ぶ値です。
ある温度の、限界まで保有できる水分量を100パーセントとし、「割合」で表現したものです。
限界量である時に湿度100%となり、現在の水分量がその半分なら50%とします。
絶対湿度
もう一つの湿度が「絶対湿度」と呼ばれるもの。
空気1kg中に含まれる水の重さ[kg]を表します。
つまり、温度は関係なく、あくまで重さです。
単位はkg/kg’です。
割合ではなく重さ。
空気の温度が何℃になっても、重さで示します。
湿度の不思議
いきなりですが、ここで問題です。
26℃(乾球温度)で、湿度が50%だったとします。
この時、温度だけが20℃まで下がったら、湿度は何%でしょう。
答えは約72%です。
かなり高い湿度です。
人によっては、不快感をおぼえるかもしれません。
ただし、絶対湿度は変化していないことになります。
26℃で50%だった空気が、20℃まで温度を下げて「相対的に」湿度が72%になっても、絶対湿度は0.0105kg/kgのままです。
空気1kgの中には、約10.5gの水分が溶け込んでいます。
空気は温度が高いほど、より多くの水分を含むことができる性質があります。
これ以上、深堀りすると、エンタルピーとか、水の分子が熱エネルギーで…とか、余計複雑になりますので、以下の2点だけ、今回は覚えてください。
- 水分量が変わらなければ、温度が下がることで、相対湿度は上がる。
- 水分量が変わらなければ、温度が上がることで、相対湿度は下がる。
冷房運転の時、湿度はどう変化する?
室内は密閉されていて、外の空気が出入りしない状態とします。
エアコンが冷房運転を始めました。
室内機の中にある熱交換器に冷媒が流れ込んで、熱交換器は冷たくなってきました。
30℃だった室内の空気を吸い込んで、15℃の冷風を吹き出します。
この時、30℃の状態だと空気に溶け込むことができた水分の一部は、凝縮して「水(液体)」になってしまいます。
15℃の空気に含むことができる水(気体)の量は、30℃のそれに比べて、圧倒的に少ないので。
これが、凝縮水、つまりドレンとなって屋外に排水されます。
相対湿度は瞬間的に急上昇しますが、設定温度に達するまでは緩やかに低下することでしょう。
冷たい飲み物を容れたコップの周囲には水滴が付着します。
その水分はもともと空気中に溶け込んでいた水分で、同じことが冷房中の室内機の中では起こっています。
絶対湿度は冷房運転をし始めた時から、低下をしつづけることになります。
結果的に、部屋の空気中に存在していた水分は減ります。
除湿された、ということになります。
この原則から、機種やメーカーによりますが、除湿モードは「弱い冷房」であることが多いようです。
除湿だけを目的にしているのではなく、結果的になりゆきの除湿ができます、という機能です。
梅雨時期の対処法
気温はそれほど高くないけれど、湿度に苦しめられるのが梅雨。
この時、除湿が可能だからと冷房運転をすると、どうなるでしょうか。
考えられるのは、
- 気温がそれほど高くないので、冷房時間が短い→それほど除湿しない。
- 設定温度を極端に下げると、寒い。
など。
湿度、つまり水蒸気も熱エネルギーを持っています。
熱エネルギーを持っているから、水蒸気でいられる、ともとらえてください。
除湿器で、湿度だけ取り除くことで、涼やかな空気を得ることができますし、この時期に(無理に)エアコンで湿度を上げてしまうと、食品の腐敗や衛生的な面からも、お控えくださった方が良いと思います。
実際の温度制御はエアコンに任せて、湿度をコントロールすることで得られる体感温度を調整してみましょう。
暖房運転の時、湿度はどう変化する?
暖房時には相対湿度は低下します。
絶対湿度はそのままで、温度だけが高まりますので、結果的に相対湿度は下がってしまいます。
空気もお肌もカサカサしてしまいます。
囲炉裏などで薪を燃やしたり、別途にストーブがありお湯を沸かし続けていると、水分が供給されてさほどカサカサはしませんが、残念ながらエアコンは水分を供給しません。
一部のメーカーで、屋外の空気中に含まれる水分を室外機でキャッチして、屋内に吹き出す機能を持つものがあります。
ダイキン工業の「うるるとさらら」シリーズです。
が、通常「うるる」してほしいのは、冬です。
当然、外気も湿度は低い状態です。
外気があまりに低い湿度の時は、大きな効果を得られないようですし、換気中であっても十分加湿できない可能性があります。
また、空気を出し入れするための配管が増えますし、こちらのシリーズは冷媒管も一回り大きいものを使用します。
壁の貫通穴を、大きく切りなおす(拡げる)工事が生じるかもしれません。
一方で、「さらら」。
これは再熱除湿、という除湿方法を取ります。
湿った空気を冷やして、もう一度、適度に暖めます。
すると、温度を下げ過ぎることなく、嫌な湿気だけを取り除いた「さらら」空気を得ることができます。
かなり面倒なようにも見えますが、除湿器はこの方式を取っています。
それをエアコン1台で行ってくれるので、便利と言えば便利。
やや高額なシリーズですが、ご購入時の参考になさってください。
まとめ
湿度とエアコンの関係性について観てきました。
- 冷房運転では、除湿が可能である。
- ただし、設定温度になると、それ以上の除湿効果は見込めない。
- 「除湿モード」は弱い冷房や間欠冷房の場合が大半。
- 梅雨時期は除湿器の活用をお勧め。
- 一部の機種の「再熱除湿」機能は期待できる(ただし工事費増大の可能性)
- 暖房運転では、加湿はしない。
- 空気が乾燥している冬季は、加湿器で対処(お肌ケアや、ウイルス増加の抑制)
湿度をうまく制御することで、エアコンの運転よりも快適な空間を実現できることがあります。
あなたのお部屋の湿度を見直して、加湿器・除湿器・エアコンをうまく利用しましょう。