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冷媒(フロンガス)とは何か?冷媒充填の費用はどうなるの?
エアコンがガス漏れをしたけど、この修理金額は妥当なの?
そもそも冷媒って?
今回のテーマは冷媒・フロンガスです。
冷媒の回収や充填が必要な修理の際に、お役立てください。
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冷媒とは
冷媒が、室内機・室外機そして冷媒管を循環させることで、快適な温度の空気を作るのがエアコンです。
人間の体で言えば、血液のようなもの。
冷媒がないエアコンは、ただの鉄箱といっても過言ではないでしょう。
エアコンは熱を室内に、または室外に運ぶ機械。
この冷媒が熱の乗り物です。
冷凍サイクル
冷「凍」と言えば、製氷機やカチカチの冷凍食品庫などを想像なさいますか?
確かに、極寒・氷点下の世界を思い浮かべがちですが、エアコンによる熱の運搬も冷凍サイクルで実現されています。
詳しく見てみましょう。
冷房の場合です。
ここに、気体の冷媒があります。
このガスをぐーっ!と、圧縮します。
すると体積は小さくなる代わりに、圧力が高まり、薄まっていた熱の因子も集約されるので温度も上昇します。
この高圧高温ガスを冷却するとどうなるでしょうか。
風で冷ましてやると、熱を失う代わりに、気体だった冷媒は液化します。
凝縮をしています。
圧力を高く維持したまま、次に膨張をさせつつ今度は温かい空気を当ててやると、どうなると思いますか?
今度は蒸発をします。
注射をする前にアルコールで消毒するとヒンヤリしますが、これは塗られたアルコールが蒸発することで熱を奪っていくから。
同じように、冷媒が蒸発すると温度は下がります。
蒸発したガスは、圧縮機に戻り、循環します。
これが冷凍サイクルで、全て密閉された回路(冷媒回路と呼びます)で循環しています。
凝縮をして熱を捨てているのが室外機。
蒸発をして熱を回収する(=冷却する)のが室内機です。
これは冷房時のルートですが、圧縮機から吐き出された高温高圧の冷媒ガスを先に室内機に送ると暖房が可能になり、室内機で凝縮・室外機で蒸発、となります。
暖房時の室外機はとても冷たい風を吹き出しています。
外の空気を冷房している、ということになりますね。
冷媒の種類
過去に、家庭用・業務用エアコンのいずれもで主流だったのはR-22という番号(アシュレイ番号と呼びます)の冷媒。
化学に明るい方は、C2HF2Cl と化学式で記載した方が解りやすいかもしれません。
正式にはハイドロクロロフルオロカーボン。
炭素と水素とフッ素と塩素の化合物です。
画期的な冷媒でした。
よく考えると、いくら圧縮したからと言って、真夏の炎天下、30℃を軽くこえる外気で凝縮ができてしまう(冷房時)。
感覚的には10℃くらいの冷風でないと、気体だったものを液化させるのは難しいような気もしますが、R-22にはそれができたのです。
ただ、問題がありました。
地球温暖化とオゾン層破壊です。
地球温暖化に影響する度合いを示す「地球温暖化係数」は1,700以上。
オゾンを破壊する強さを示す「オゾン破壊係数」は0.055。
温暖化の悪玉のようにまつりあげられる二酸化炭素は係数「1」です。
実に、1,700倍の温暖化効果がある、とされています。
そこで、R-22に代わる冷媒として登場したのが、R-407Cや R-410Aという冷媒。
オゾン破壊係数を抑え、温暖化にも影響しにくいもの、ということで使用されはじめました。
(現在R-22は、京都議定書やモントリオール議定書により、日本国内での製造、海外からの輸入も禁止されています。)
ところが、このR-407CやR-410A、実は「混合冷媒」といい、数種類の冷媒を正確な割合で混ぜたものです。
R-22は「単一冷媒」で混合のない冷媒でした。
困ったのは冷媒が何らかのトラブルで漏れてしまった時。
単一冷媒なら、同じガスを必要な量だけ追加してやればよかったのですが、混合冷媒だと、そうは参りません。
「正確な」割合で初めて冷凍サイクルを実現できるのですが、混合冷媒の成分の中には、蒸発しやすいものと蒸発しにくいものがあり、ガス漏れ修理の後で追加できない(混合割合が変わるから)のです。
全量が抜けきっていなくても、機械に残っていた冷媒は、全て回収して、既定の量の新品のガスを充てんしなければなりません。
このジレンマと、頭打ちになっていた消費電力効率を、一気に変革しようとしているのが、R-32です。
R-32の魅力
おそらく近い将来、国内のエアコンに使われる冷媒はR-32が主流になると思われます。
すでに、家庭用・業務用いずれのエアコンにも採用されています。
まず、オゾン破壊係数がゼロ。
そして地球温暖化係数も、675と、二酸化炭素の1にはまだ及びませんが、R-22に比べると大きな進歩です。
冷凍サイクルにも、とても適した冷媒ですので、結果的に省エネにも貢献しています。
ただし、「進歩」というには少し語弊があります。
実はR-32は、最近開発されたものではありません。
ずっと昔から存在はしていましたが、微燃性物質なので使用が禁じられていました。
可燃性ではなく、「微」燃性。
燃やしにくいけれど、燃やそうと思えば何とか燃える、という物質ですので、万が一を想定した場合、行政(通産省)として認可できなかったのです。
公にはなりませんが、恐らく官民一体となった働きかけや工夫と努力で、R-32が市場に流通できるようになったものと考えます。
修理時の価格
ガス漏れを起こしてしまった時の修理代金を考えてみましょう。
冷媒そのものの金額としてはR-407C・ R-410Aが1キロ当たり2,000円程度。
主流になりつつあるR-32は3,000~4,000円程度でしょうか。
R-22は、1,000円未満程度でしたが、現在製造できないことを考えると、単価は急騰しているかもしれません。
また、これ以降の生産も考えられませんので、エアコン自体の交換を検討する方が得策です。
点検調査をして、必要なら部品を調達して、時によっては溶接など特殊な作業が生じます。
そこに新しい冷媒を充てんして…となると、コストパフォーマンスが悪すぎますね。
同様に、R-407C・R410Aなどの混合冷媒なども、前述のとおり、基本的には追加の充てんができないものとお考えください。
エアコンが適正に運転できるために、必要な冷媒量は、家庭用エアコンなら1キロ未満、業務用エアコンなら5~6キロ。大型のものなら数十キロは必要になります。
メーカーやエアコンの馬力によってバラバラですので、目安としてご認識ください。
不法な悪徳業者
稀に、ですが、郵便受けに投函されたDMに「冷媒の交換・入替で電気代が大幅ダウン!」などと記されたものがあります。
このDMには、かなり注意が必要です。
不法な業者である可能性が高いです。
上に、R-32は微燃性物質です、と述べました。
さらに、プロパンにもアシュレイ番号があってR-290という、立派な冷媒の一つです。
冷蔵庫の冷凍サイクルに用いられることもあります。
組成が非常に近いので、どちらかと言えば、冷媒に適している物質です。
実は、ある可燃性物質を、ある割合でR-22やR-410Aなどに混合すると、エアコンの能力が格段に上昇するのは事実です。
事実ですが、ここで「何をどれくらい」なのか、お教えするわけには、参りません。
・メーカー様がそんなことを認めていないので、保証ができない。
・法的にも認められていない。
・最悪の場合、火災や爆発事故に至る。
などの理由です。
人に危害を加える可能性があるようなものを、無法にすすめることは、道徳的にもアウトです。
ちなみに、冷媒回収や冷媒の充てんは、厳しい講習を受講して、修了証を受けた方しか許されていませんので、ご注意ください。
道具とコツがあれば、誰にでもできることですが、事故や地球環境を保全するという観点から禁じられています。
怪しいな?と感じた時はお断りを。
「モグリ」の冷媒屋さんかもしれませんよ。
フロンを吸引した場合の危険性
今回のエアコントラブルは、どうやら冷媒が漏れていたらしい。
恐らく、吸引してしまったけれど、健康に被害はないのかな…?
ご心配は無用です。
無色透明、無味無害です。
健康被害は報告されていません。
ただ、修理業者様が溶接中に、トーチの火で冷媒を炙ってしまうことはあります。
これは、意図的に炙っているのではなくて、偶然です。
お客様のことを考えてのことです。
塩素やフッ素が含まれているものを燃焼しますので、むせ込むほどの異臭がします。
修理業者様が溶接をなさっている時は、あまり近寄らない方が良いですよ。
もう一つお気を付けいただきたいのは、冷媒は空気より重いということです。
重いので、密閉された部屋などでは下の方から溜まってきます。
酸素が無い空間にいては窒息します。
事故例は耳にしたことがありませんが、念のため。
家庭用エアコン程度の冷媒量なら、全量が8畳の部屋に漏れたとしても、溺れるというようなことはありません。
まとめ
少し、難しい化学式や記号が出てきましたが、いかがでしたでしょうか?
冷媒が無いと、エアコンではありません。
また、ガス漏れの修理はそこそこの金額になりがちです。
エアコンの冷えが悪いかな?
暖房の時、最近室外機の霜着きが激しいなぁ、という場合は、冷媒が漏れ始めているかもしれません。
症状が悪化すると修理代金も上がりますので、おかしいな、と思ったらメーカーさんか販売店様にご相談なさってください。